2012年07月15日

エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会(さいたま市、7月14日)で意見表明

エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会(さいたま市、7月14日)に参加し、意見を表明してきました。

エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会
http://www.ustream.tv/channel/ikenchoshukai
意見聴取会 7/14 (土)【さいたま会場】
http://www.ustream.tv/recorded/24016746


Video streaming by Ustream

原発比率15%シナリオがあまりに乱暴な選択肢であること、福島原発事故による放射線被害の真相と放射線による健康影響に関して判断材料が提示されていない問題、核兵器開発につながる使用済み燃料の再処理の是非を選択肢から外している問題などを訴えました。

国家戦略室 - 政策 - 革新的エネルギー・環境戦略 - エネルギー・環境会議
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive01.html
エネルギー・環境に関する選択肢(平成24年6月29日エネルギー・環境会議決定)(原稿中の「シナリオ文書」)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120629/20120629_1.pdf

ちなみに、エネルギー・環境に関する意見聴取会事務局から参加・意見表明に当選したとの連絡が来たのは、7月13日の午前0時48分。同事務局は政府部局ではなく、請け負った業者。夜中まで作業お疲れ様でした。

政府は余裕をもって「国民的議論」の計画を組むべきです。これでは意見表明する者にとって準備する時間が足りない。

以下は用意した原稿のうち、実際に話すことができた部分です。録画が後ほど公開されるとのことですが、未編集で公開されるかどうかは不明。

内容を構成する情報のほとんどは、下記ページに集約されています。

原発の基礎情報もろもろ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/221007611.html
内部被曝−資料
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/273231204.html



15シナリオがあまりに乱暴な選択肢だ、政府による原発事故対応と同じく不誠実だ、一言でいって小選挙区制選挙のように選びようがないという点で、批判する立場から、意見したいと思います。

まず、政府は責任ある選択を行うといいますが、事故を起こした側にある国が事故の責任も取っていないのに、なぜ原発政策の責任ある選択ができるのか、ここに根本的な疑問があります。

ドイツは22年までに全廃。地震国の日本は30年までの目標設定。それを決めた後、30 年を目途に検証を行うといいます。あまりに悠長です。

シナリオを考えるための4つの視点が提示されていますが(原子力の安全性・リスク、エネルギー安全保障、地球温暖化問題、コスト・空洞化)、健康被害についてはまったく言及していません。特設サイトも同様で、客観的かつ具体的な情報提供を行うといいながら、健康被害について何の情報もありません。

福島県立医大副学長の山下俊一氏は、福島の子どもたちの35%の甲状腺で嚢胞が見つかったと報告しています。一部を除いて2年後まで検査する必要はないとしていますが、山下氏が2000年に長崎の子供たちを対象に行った検査では、嚢胞検出率は0.8%でした。

シナリオを考える上で福島などでの放射線の影響を理解する必要がありますが、山下氏は市民の求めにも生データを公表しようとしません。政府は公表を迫り、国民の判断材料を提供すべきです。

福島の中手聖一氏による調査に触発されて、政府の人口動態統計から、東日本で原発事故後、病死者数がどう変化しているかを分析しました。

0歳、1〜4歳、5〜19歳の3区分のいずれかで病死者数の対前年比が1.5倍以上の都道府県は、岩手、山形、福島、栃木、千葉、長野の6県でした。放射能汚染された県が多いことが明らかです。大人についても同様の傾向があります。

4つの視点の1つに原子力の安全性がありますが、これは事故対策上の物理的安全性であって、原発の通常稼働による健康影響をまったく考慮していません。シナリオを考えるには、この問題に関するデータも判断材料として必要です。

例えば、米統計学者のグールドらが、米国で閉鎖された原発8基のいずれでも、64キロメートル内の風下では、地元産ミルクのストロンチウム90濃度と乳児死亡率が急減したが、風上や64キロメートル外では全国パターンと変わらなかったことを示しています。

また、グールドの別の疫学調査でも、原発の周囲で乳がんの発生率と白人女性の死亡率が上昇していることが分かっています。

低線量放射線による健康影響のデータも判断材料として必要です。

放射線基準で政府が依拠しているのがICRP(国際放射線防護委員会)、ICRPが依拠しているのが放射線影響研究所ですが、この放影研はついに原爆被爆者の死亡率に関する研究第14報で、固形がんによる死亡リスクに放射線の閾値がないことを認めました。ある市民が厚労省にこの論文の存在を承知しているか確認したところ、承知していると、しかし積極的な公表はしないとの返答だったということです。

あるいは、米原子力規制委員会(NRC)の昨年3月15日の記録で、フクイチ4号機について、「5人が致死量の線量を浴びた可能性がある」とあります。政府や東電からこの件でまったく説明がありません。

このように被害の真相、具体的なデータを示して、放射線の影響をリアルに意識するのでない限り、原発選択肢を考えることなどできません。

シナリオで国民の選択を排除しているのが、核兵器開発につながる使用済み燃料の再処理問題です。

54年3月2日、ビキニ水爆実験の翌日に、「原子兵器を理解し、またはこれを使用する能力をもつことが先決問題である」と演説して、初めて原子力予算が国会を通過したように、また69年の外交政策大綱で「核兵器については、当面、保有しない措置を取るが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャルは常に保持する」とあるように、原発政策は核兵器を念頭に開始されたものです。

15シナリオでは核兵器開発につながる使用済み燃料再処理を拒否する選択肢を与えず、政府が処理方法を決めるとしています。

先日、これから国民的議論を開始しようとするその前に、「原子力規制委員会設置法」の「附則」で原子力を推進するための上位法の原子力基本法に「わが国の安全保障に資する」という目的が、多くの国会議員にさえ知られることなく、急いで追加されました。

使用済み燃料の選択肢を与えないこと、軍事を意味する安全保障目的を追加したことは、核兵器保有の観点から実に符合するものです。

核兵器を開発したい人にとって、15、20〜25のどちらのシナリオでも構わないわけです、使用済み燃料の再処理ができれば。金食い虫、もんじゅ、プルトニウムを増やす原子炉についての選択肢を与えないのも、符合しています。

原発の再稼働は少しなら認めるが、可能な限り早くなくしたい、核兵器開発につながる再処理はさせたくない国民は、15シナリオを選択できるでしょうか。

なぜ中間的選択肢に見える15シナリオが5とかそれ以下ではなく、核兵器開発につながる可能性と抱き合わせなのか。これでは20〜25シナリオと本質的に変わりません。

政府はメディアの世論調査などもふまえ、総合的に判断したいとし、データ数としては一番膨大になると思われるパブコメについても、その結果をどのように扱うのか、事前に明確に決めていません。「討論型世論調査」についても同様で、そこで使われる学習資料はまったくのブラックボックスです。

例えば、0シナリオを選んだのが、20パーセント、15シナリオが40パーセント、20〜25シナリオが同じく40パーセントだとしましょう。原発維持の声が多数だと判断できますか。

15シナリオの40パーセントの方ほとんどすべてが、20〜25シナリオと比べ、断然0シナリオが好ましいとすれば、実質的な原発ゼロ派は過半数の60パーセントに達するわけです。

こうした数学的問題は、単純小選挙区制選挙でも見られ、コンドルセのパラドックスとして知られています。最下位の得票の候補者が実は有権者から最も広範に好まれている、ということがあるのです。脱原発派が10人、原発維持派が1人、立候補した場合を想定してみてください。単純小選挙区制ではまったく民意を測定できません。今回のシナリオ選択もまったく同じ方式なのです。

シナリオ文書では、関心の高い電力需給の話は出てきません。特設サイトに埋もれてはいますが。しかも今夏の需給予測はあっても、実績については記載されていないのです。

例えば関電管内、今夏は大飯原発3、4号機分以上、昨夏より節電されています。これは関西学院大学の朴勝俊(ぱく すんじゅん)准教授が昨夏の実績から、最大需要・最高気温の1次モデルを示しましたが、それとの比較によるものです。

実際、関電も、7/7の日経に、「気温と比較してもかなり需要が落ちている印象」と語っています。最大の電力不足に陥るとされた関電でこの実態です。

電気が足りなくなると心配して15シナリオを選択される国民がいらっしゃると思いますが、15も必要でないことは明らかです。15シナリオはあまりに粗雑です。

太田光征


posted by 2011shinsaichiba at 00:21| Comment(2) | TrackBack(0) | エネルギー・環境に関する選択肢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さいたま市の意見聴取会に参加していたものです。ツイッターはやっていなくて、初めてですが、お礼を言いたくてコメントいたします。
あの短い時間で本当に必要なことをスカッと提示下さったことに敬意を表します。この意見聴取会は単なるアリバイ作りであるという人もいるけれど、少なくともあそこに枝野さんはいたし、聞いていました。
諦めることなく、原発ゼロの日までご一緒させてくださいね。
Posted by 長尾愛子 at 2012年07月17日 15:41
長尾さん

コメント、ただ今気づきました。

そう、枝野さんはすべてを聞いていたのです。まともな方であれば、まともな健康調査を今すぐ開始しなければならないことが分かったはずです。

アリバイ作りではあっても、また主流メディアが中部電社員の「放射線で1人も…」だけしか報道しないとしても、メディアにも枝野さんにも突き付けたという事実が残っています。

今後ともよろしくお願いします。
Posted by 太田光征 at 2012年07月21日 12:19
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