2013年02月07日

放射性セシウムの体内動態

放射性セシウムの体内動態について、放医研の石原弘氏が「化学」の2012年11月号に書いている。

セシウムの体内動態と排出促進 ●石原 弘
「化学」2012年(67巻)11月号(2012年10月17日)
http://www.fujisan.co.jp/product/366/b/853868/
http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/web-kagaku03/c6711/c6711-ishihara/_SWF_Window.html?pagecode=2
「セシウム摂取直後は心・肝・腎臓に多く,その後,移動して10 日ほどで臓器相互の保持率が一定化し,約80%が全身の筋肉,7%が骨に分布することが知られている(図1).これは臓器ごとにCs+の流入率や流出率が異なり,10日ほどで平衡状態に達するためである.」

石原氏はこの記述と図1の根拠として、Leggettらの下記のレビューを挙げている。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14630424
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969703003334
Sci Total Environ. 2003 Dec 30;317(1-3):235-55.
A physiologically based biokinetic model for cesium in the human body.
Leggett RW, Williams LR, Melo DR, Lipsztein JL.

このレビューに掲載されている図を見ると、セシウムの体内動態といっても、放射性セシウムを注射された場合を扱っている。単回注射なのだろう。

要旨でも、特定臓器におけるCsの流入率に関する情報をCs類似元素のKやRbに関する情報で補い、組織から血漿への流出率は平衡状態にある血漿と組織におけるCsの相対含有量から推計したとしている。

A physiologically descriptive model of the biological behavior of cesium in the human body has been constructed around a detailed blood flow model. The rate of transfer from plasma into a tissue is determined by the blood perfusion rate and the tissue-specific extraction fraction of Cs during passage from arterial to venous plasma. Information on tissue-specific extraction of Cs is supplemented with information on the Cs analogues, K and Rb, and known patterns of discrimination between these metals by tissues. The rate of return from a tissue to plasma is estimated from the relative contents of Cs in plasma and the tissue at equilibrium as estimated from environmental studies. Transfers of Cs other than exchange between plasma and tissues (e.g. secretions into the gastrointestinal tract) are based on a combination of physiological considerations and empirical data on Cs or related elements. Model predictions are consistent with the sizable database on the time-dependent distribution and retention of radiocesium in the human body.

福島原発事故後の内部被ばくで問題となるのは、放射性物質の長期摂取による影響であって、単回摂取して臓器間で平衡状態に達した場合の影響ではない。

東北大による安楽殺牛の研究では放射性セシウムが筋肉に集まることが強調されるが、実際は臓器ごとに濃度はかなり異なっている。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20130121_01.pdf
福島第一原子力発電所事故に伴う警戒区域内に残された牛における人工放射性物質の体内分布を明らかに(平成 25年1月21日)

マウスの研究では放射性セシウムが心臓、腎臓、唾液腺(甲状腺近辺)に蓄積することが分かっている。

生体内で心臓、腎臓、唾液腺(甲状腺近辺)に蓄積する放射性セシウム(Cs-137) (放射性セシウムを投与されたマウスのオートラジオグラム)
http://boony.at.webry.info/201111/article_17.html
原論文:
http://jdream2.jst.go.jp/jdream/action/JD71001Disp?APP=jdream&action=reflink&origin=JGLOBAL&versiono=1.0&lang-japanese&db=JMEDPlus&doc=97A0442020&fulllink=no&md5=5a3b9bfa403f19b6815d4f295747f339
和文標題:マウス胎児及び母体における137Csの臓器分布
「特に,母体の器官のなかでも唾液腺が最も高い濃度を示し,投与後1時間目および24時間目では,それぞれ25%/gおよび6.4%/gとなった。」

何より、ユーリ・バンダジェスフスキーがヒトの乳児で、<死因ないし個人>によって各臓器へのCs137分布が一様でないことを見いだしている。

内部被曝−資料
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/273231204.html
(3) セシウム137は何年後まで残るか(オーストリアの例)/セシウム137は甲状腺・副腎に蓄積しやすい
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/273175611.html

時事の記事では東北大の福本教授が「放射性物質の人体への影響を研究するための第一歩」と話しているが、バンダジェフスキーの知見を無視している。でも、子牛の方が母牛より濃度が高いという発見は貴重。

セシウム濃度、体内部位で差=牛で調査、人にも応用−東北大
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013012400128&g=soc


太田光征
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posted by 2011shinsaichiba at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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