2013年04月06日

福島原発事故による健康影響:先天性甲状腺機能低下症も検査するべきでは?

福島県衛生研究所御中
福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター御中

福島原発事故由来の放射性物質による健康影響が懸念されるところです。

以下の3点についてお尋ねします。

1) 「基本調査」と「甲状腺検査」の統一データベースを早急に作成される計画があるかどうか
2) 2歳以下の子どもについて福島と福島以外で甲状腺異常に違いがあるかどうかの調査を実施されるかどうか
3) 先天性甲状腺機能低下症の検査を実施されるかどうか

放射線・公衆衛生プロジェクトのジョセフ・マンガーノとジャネット・シャーマンがOpen Journal of Pediatrics(Vol.3 No.1, March 2013)に発表した論文によれば、予備的研究であるとしながらも、福島原発事故後に放射線量が相対的に高かった米国太平洋岸で、新生児の先天性甲状腺機能低下症が増加しています。

http://www.scirp.org/journal/PaperInformation.aspx?PaperID=28599
米国の太平洋・西海岸諸州における空中ベータ線レベルの上昇と福島原発メルトダウン後の新生児における甲状腺機能低下症の傾向
Elevated airborne beta levels in Pacific/West Coast US States and trends in hypothyroidism among newborns after the Fukushima nuclear meltdown
OJPed> Vol.3 No.1, March 2013
Joseph J. Mangano, Janette D. Sherman

先天性甲状腺機能低下症はチェルノブイリ周辺地域で被ばくとの間に相関関係があり、米スリーマイル島原発事故でも風下地域は風上地域より症例数が増えています。チェルノブイリ後の米国でも1984-1985年と1986-1987年を比べると、症例数は南東部が−1.0%であるのに対して北西部で+23.3%となっています。米インディアンポイント原発周辺の4郡における症例数(新生児当たり)も米国全体の約2倍です。

論文要旨:

ABSTRACT
「さまざまな報告書によれば、先進国において先天性甲状腺機能低下症の発生率が増加しているが、本疾患の検出が改善されていることや、診断基準がより包括的になっていることでこの傾向すべてを説明することはできない。数多くの研究で指摘されている危険因子の1つが、核実験のフォールアウトや原子炉からの放出による放射性ヨウ素への被ばくである。2011年3月11日に日本の福島第一原子力発電所の原子炉4基がメルトダウンしたことで、大量のフォールアウトが世界中に拡散したが、この中に放射性同位体が含まれていた。メルトダウン直後から米国の降雨におけるI-131濃度が測定された結果、通常の211倍に達した。I-131と空中総ベータ線量の最高値が太平洋岸の5州で記録された。これら5州の2011年3月17日から12月31日までに発生した先天性甲状腺機能低下症の症例数は、2010年同期と比べ16%も高かった。対して米国の他の36州では3%低下していた(p < 0.03)。これらグループにおける最大の開き(+28%)は3月17日〜6月30日の間で見られた(p < 0.04)。福島第一原子力発電所由来のヨウ素への被ばくと先天性甲状腺機能低下症リスクの相関関係を深く究明するには、米国その他の国々でさらなる分析が必要である。」

福島県では少なくとも平成16年まで「先天性代謝異常等新生児マス・スクリーニング」が衛生研究所によって実施され、検査項目の1つに先天性甲状腺機能低下症が含まれていました。

福島県ホームページ - 組織別 - 平成18年度以前の年報掲載資料
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=13082

平成17年以降では先天性甲状腺機能低下症の検査の報告を確認することができませんでした。最新の平成23年度福島県衛生研究所年報にも記載がありません。

平成23年度福島県衛生研究所年報
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/H23nennpou_pdf.pdf

また、「県民健康管理調査」の血液検査項目にも先天性甲状腺機能低下症の指標となる甲状腺刺激ホルモン(TSH)が入っていません。

福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査について
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24287

チェルノブイリやスリーマイルでも先天性甲状腺機能低下症が増加し、そして福島原発事故後の米国でも同疾患が増加していることを考えれば、福島県などでも同疾患の検査が必要ではないでしょうか。以前にも実施していたのですから。

次に、外部被ばく線量の推計等を行う「基本調査」と「甲状腺検査」のデータベースの名寄せができていない件についてです。

今年の2月6日、千葉県松戸市主催で東京大学早野龍五教授の講演会が開催されたおり、早野教授本人から統一データベースが未作成であることを聞きました。統一データベースの作成は来年になるといいます。

福島の甲状腺検査と被ばく線量調査:データは名寄せしていないhttp://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/319536344.html

環境省が検査対象から2歳児以下を除いて福島県外3県で甲状腺検査を実施しました。福島県の検査と比べるには不適切な対象設定になっており、放射線による健康影響の心配は消えません。

環境省 報道発表資料−平成25年3月29日−福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16520

放射線による健康影響を調べるには、放射線量と健康影響の相関関係をみなければならないので、統一データベースが必要です。

以上から、新生児や乳児の甲状腺関連の検査を強化する必要性が浮き彫りになります。

1)「基本調査」と「甲状腺検査」の統一データベースを早急に作成される計画があるかどうか、2)2歳以下の子どもについて福島と福島以外で甲状腺異常に違いがあるかどうかの調査を実施されるかどうか、3) 先天性甲状腺機能低下症の検査を実施されるかどうか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

太田光征
【関連する記事】
posted by 2011shinsaichiba at 13:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康被害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック