「福島県の子ども」の病死者数について−政府・人口動態統計から分かった事故後の変化−
http://dl.dropbox.com/u/17135518/nakate.pdf
千葉県はどうなのか、政府と千葉県の人口動態統計から分析した結果を報告する。
使用データ:
人口動態調査 結果の概要|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
人口動態統計月報(概数)
千葉県年齢別・町丁字別人口/千葉県
http://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/nenreibetsu/index.html
第2表年齢(5歳階級、各歳)別、男女別人口-県・市区町村・11地域
2008年から2011年までのデータを分析することとした。放射線の影響を検討するには事故死などを除外するとともに、なるべく細かな年齢区分ごとに見る必要があるが、政府が公表している統計データは年度によって死因別・年齢別・都道府県別がそろっていないものがある。
08年と09年については死因別・年齢別・都道府県別のデータがないので、この4年間については事故死などを含む「死者数」を対象とし、「病死者数」については10年と11年だけを分析した。
現時点で11年のデータは11月までしか公表されていないので、3月から11月を対象とした。厳密を期して死亡率を求めるための人口は各年の4月1日現在の数値を使用した。(ただし、死者数ないし病死者数の変化に比して人口の変動はほとんど無視できるので、死者数ないし病死者数だけの変化を分析してもかまわない。)
全体の死亡率(10万人当たりの死者数)は08年から11年にかけて一貫してわずかに高くなる傾向を示している。そうした中、子どもの死亡率は逆に低下しているのが特徴で、0〜4歳までは11年も低下している(Fig.1-a、Fig.2-a、Fig.2-b)。
千葉県の死亡率(10万人当たりの死者数、3月〜11月)
2008年 551.0648
2009年 554.4349
2010年 581.3193
2011年 594.8231
ところが、5歳から19歳まで(Fig.1-aでは明らかでないが、実際には4歳から)は11年にこの低下傾向が逆転する。死亡率の増加は19歳を越えて29歳にまで及んでいる。中高年の多くの年齢区分で死亡率が微減しているのとは対照的だ(Fig.1-b、Fig.1-c、Fig.1-d、Fig.2-c、Fig.2-d、Fig.2-e)。10年から11年にかけての死亡率の増加は広く若年で連続的に見られることから、単なる変動でない可能性が極めて高い。
中手氏の分析に対して、0歳を含めた14歳以下では10年から11年にかけて死亡数が減少しているとする批判が見られる。しかし、年齢区分を広くとったのでは変化をとらえることができない。子どもの中で死亡数のかなりの部分を0歳児が占めるので、0歳児を含めるとその他の年齢の子どもの挙動が0歳児の挙動に埋没してしまう。
千葉県における子どもの病死者数
0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 05-09歳 10-14歳 15-19歳
2010年 157.756 27.66558 20.16425 5.515618 5.67215 2.492434 2.453919 4.898119
2011年 141.7916 7.48405 11.02901 5.477551 7.330303 5.774422 4.186787 5.95432
乳児死亡率(生後1年未満の死亡)も死産率(妊娠満12週以後の死児の出産)も年々低下している。
平成22年人口動態統計の概況(確定数)/千葉県
http://www.pref.chiba.lg.jp/kenshidou/toukeidata/kakushukousei/jinkoudoutai/h22-gaikyou.html
表5(エクセル:42KB)人口動態総覧・年次推移
もともと高い乳幼児の健康リスクは医療などによって大きく低減されるので、放射線の影響を見えにくくしている可能性があることに注意しなければならない。0歳児は分けて分析する必要がある。
福島でも千葉でも子どもの病死者が福島原発事故後に増えた。一番健康で病死が稀な子どもの病死者が増えている事態を軽くみることはできない。原因はストレスだ、誤差だと決めつける前に、さらなる究明が必要だ、という結論に至るのが常識だろう。健康被害の予防に努めるべき行政には、健康診断を含む放射線対策に本腰を入れていただきたいと思う。
太田光征
[参考]
千葉県東葛地域の放射線レベルと重なる汚染レベルのチェルノブイリ周辺地域でありとあらゆる疾患が増加している。
[仮称]松戸市放射能対策総合計画(案) に対する意見
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/266897022.html
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