最先端で走る科学者に学ぶ放射線講演会〜内部被ばくについて〜
給食まるごと放射線検査・ホールボディカウンターについて学ぼう
▼会場/市民劇場ホール
▼講師/早野龍五氏(東京大学大学院理学系研究科教授
早野教授の講演会終了後、立ち話で何点か聞きました。
福島で甲状腺検査が行われた結果、相当数の子どもの甲状腺に嚢胞などの症状が確認されています。こうした検査結果と放射線被ばく線量の相関関係が誰しも気になるところです。
この相関関係に関する研究の進展状況がどうなっているのか聞いたのですが、驚いたことに、甲状腺検査と被ばく線量調査の担当主体が違うので、各データ間で名寄せ(番号寄せで構わない)ができていないというのです。統一データベースの作成は来年になるといいます。
早野教授もこの状況は問題視されています。個人情報云々があって、という説明もされるのですが、それはおかしな話だし、なぜ単なる番号寄せ作業にそれほどの時間をかけなければならないのか、不思議です。学界の中にいるので、早野教授にはこの問題の解決に声を上げてほしいと要望しておきました。
[参考]
福島県の子ども甲状腺検査:嚢胞有病率の上昇と被ばくレベルの関係
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/293739672.html
「県北の住民が相双の住民より被ばくレベルが高いと推定され、県北中心の8月末グループも相双中心の3月末グループと比べて被ばくレベルが高い可能性があることから、8月末における嚢胞および結節の有病率の増加と放射線の関係が心配される。」
講演本体の話の中で何点か気になるところがありました。サッカー活動をしている中学生だったか高校生だったか、放射性塵による内部被ばくはホールボディーカウンター(WBC)検査の結果から、ないことが分かったとしています。
しかし、WBCはある程度の総量を検出するものであって、主に肺に沈着すると思われる少量の放射性塵による内部被ばくをWBCで評価できるのか、非常に疑問です。内部被ばくでは、総量も大事ながら、核種の濃度が非常に重要です。総量が少なくとも(長期にわたって)濃度が高いケースをWBCは見逃すし、シーベルトという指標やICRPのリスクモデルはそもそもこうしたケースを無視しています。
このシーベルトで非がん性疾患のリスクを評価できるのか、という質問を用紙に書いて質問したのですが、質問文が長いということで一番後回しにされ、結局、時間切れ。がんがリスク評価の標準であるという主旨を答えられたのみでした。
質問文には、以下のようなことを書きました。
シーベルトは、生体内での実際の線量濃度ではなく、組織・臓器当たりに平均化した仮想的吸収線量でしかありません。ベラルーシのユーリ・バンダジェフスキーは放射性セシウムの体内分布が一様ではないことを明らかにしています。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)のリスクモデルは放射性核種が体内に均一に分布すると仮定しており、また年齢の違いによる放射線感受性を考慮していません。評価対象となっている健康影響は発がんと遺伝的影響のみで、非がん性疾患、例えば取手市の学校で異常が増加している心血管疾患のリスクを無視しています。ICRPが依拠する放射線影響研究所(放影研)による原爆被爆者の研究で採用された比較対照群は内部被ばくを受けた方であり、放影研による研究は内部被ばくによる影響を差し引いたものです。
放射性セシウムの体内分布について、早野教授は東北大の研究者による福島での死亡牛の検査から、放射性セシウムは筋肉に蓄積するという知見のみを根拠に、ICRPリスクモデルの仮定が妥当だとしていました。私はバンダジェフスキーのヒトでの知見を説明したのですが。
太田光征
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